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サンドブラスト加工での多段彫りについての説明

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多段彫りとは

サンドブラストでガラスや鏡に彫刻エッチング)を施す技法のひとつとして多段彫りがあります。エッチングガラスやエッチングミラーを作る際に用いられる技法です。絵柄を細かな部位に分けて彫刻することにより、絵柄の上下関係や細部まで表現ができ、写実的で立体的に仕上げることができます。

彫刻部のクローズアップ画像

鏡に彫刻したバラの花のクローズアップ画像鏡に彫刻した薔薇のクローズアップ画像

鏡に多段彫りしたバラの花のクローズアップ画像です。
彫刻部は白くスリガラス状になり、鏡の透明感と相まって上品な仕上がりです。
また、鏡の表面を1ミリ程彫り込んであるので、触ってみると凹凸があり奥行きのある立体的な仕上がりです。

多段彫りの各工程の説明

バラの花の図柄を、フラワーベースに多段彫りする工程をご紹介いたします。

1.図案の準備

多段彫り用の図案(バラの花)

バラの花をモチーフとした多段彫り用の図案を作ります。塗り絵の線画のように、すべての部位を線で囲んだ図案を作ります。


2.マスキングシート

マスキングシート

サンドブラストで使うマスキングシートです。片面に粘着剤が付いていて、その面を彫刻する部位に貼り付けて使用します。多少柔軟性があるので、曲面に追従して貼り付けることができます。


3.彫刻を施すフラワーベース

フラワーベース

クリアガラスのフラワーベースです。このフラワーベース側面に、多段彫りを施します。多段彫りは平彫りに比べ深く掘りこむので、ガラスの厚さは3mm以上は必要です。

マスキングシートを貼り付ける部位は、きれいに洗浄しておきます。マスキングシートを貼り付けたとき、粘着力が落ちたり、細かなゴミがマスキングシートとガラス面に入り込まないようにするためです。仕上がりや作業性に大きく影響するので、丁寧に水洗した後、しっかりと乾かします。


4.マスキング

マスキングシートを貼り付けたフラワーベース

フラワーベースの側面に、マスキングシートを貼り付けます。
この時、マスキングシートをいっぺんに貼ろうとせず、指の腹を使って端から少しずつ貼り付け、しわや気泡が入らないように注意します。仕上がりや作業性に大きく影響するので、丁寧に貼り付けます。


5.図案の貼り付け

図案を貼り付けたフラワーベース

4.でマスキングしたフラワーベースの彫刻部位に、両面テープで図案を貼り付けます。
この時も図案にしわが入らないように、端から少しずつ貼り付けていきます。


6.マスキングシートのカット

マスキングシートのカット

ナイフで図案の線にそって切り込みを入れます。図案と共にマスキングシートにも切り込みをしっかりと入れます。
最後に、カットし忘れたところがないか確認します。カットし忘れをなくすコツとしては、一筆書きのように図案の線に切り込みを入れます。


7.サンドブラスト部位の選定

サンドブラスト加工(多段彫り)する部位の選定

最初に彫刻する部位のマスキングシートを剥がします。
多段彫りの場合、彫刻する図案の各部位には上下関係があるので、一番上にくる部位を最初に彫刻します。


8.金剛砂

サンドブラストで使用する金剛砂

サンドブラスト用の研磨材として使用する金剛砂です。彫刻する細かさや面積によって金剛砂の粒度を変えます。
使用しているうちに粒が軽く(細かく)なり、作業効率が悪くなるので、その場合は金剛砂を補充します。。


9.サンドブラスト装置のキャビネット内部

サンドブラスト装置のキャビネット内部

サンドブラスト加工で使う縦1.5m×横1mぐらいの箱状のキャビネットです。前面の扉には、作業時に内部を見るための小窓と、扉を閉めたまま内部に手を入れて作業するための手袋が付いていて、閉された装置となっています。
このキャビネットの中でサンドブラスト加工を行います。下の部分には金剛砂がたまっていて、それをエアーの圧力で吸い上げブラストガンから吐出してサンドブラスト加工を行います。加工中は金剛砂や削られたガラス粉がキャビネット内を舞うため、それらを吸い取るために、集じん機につながるホースが付いています。


10.サンドブラストガン

サンドブラストガン

サンドブラストガンです。エアーと金剛砂のそれぞれを供給するホースが2本つながっていて、先端ノズルからエアーと一緒に金剛砂を吐出してガラスを削ります。
エアー圧・金剛砂の粒度・砂を当てている時間や回数によって、彫刻する深さを調節します。
先端のノズルはセラミック製で、使用しているうちに金剛砂によって摩耗され内径が大きくなってきます。内径が大きくなると、金剛砂が広がって吐出されるため作業効率が悪くなるので、その場合はノズルを取り換えます。


11.サンドブラスト1

バラの花を多段彫りしている途中の画像

サンドブラスト装置のキャビネット内で、マスキングシートを剥がした所をサンドブラスト加工します。図案の線にそって金剛砂が直角に当たる様にサンドブラストガンを一定速度で動かします。
途中で何度も彫刻した深さを確認しながら作業を行います。


12.サンドブラスト2

バラの花を多段彫りしている途中の画像

サンドブラスト加工の途中画像です。
このように多段彫りの場合、線で囲まれた所を一枚一枚剥がして削る作業を繰り返します。


13.サンドブラスト完了

バラの花の多段彫りが完了したところ

すべての部位を削り終わったところです。この状態では砂をぶつけたところは白く曇った状態です。
削り残した部位がないことを確認した後、仕上げに進みます。


14.仕上げ

フラワーベースに多段彫りしたバラの花

削った部分を樹脂コーティングして完成です。
樹脂コーティングは、汚れ防止のために行います。


15.完成

バラの花を多段彫りしたフラワーベース

コーティングした樹脂が硬化した後、マスキングシートを剥がして水洗すれば、バラの花を多段彫りしたフラワーベースの完成です。